精神科看護「まごころ草とばいきん草」

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精神科看護に関する自分なりの覚書

全く新しい睡眠法「シャッフル睡眠法」で不眠と上手く付き合う

「シャッフル睡眠法」とは?

 ツイッターを見ていると、精神科医斎藤環先生が

  とツイートし、

  と個人的効果をツイートしていました。

 

 私も記事元を参考にして数夜試してみると、効果は絶大。特に入眠の改善が著しかったです。

www.excite.co.jp

 

「シャッフル睡眠法」のやり方

1)適当に言葉を考える

(例「ぶどう」)

2)適当に考えた言葉の1文字目から始まる単語を6-10秒ほど想像する

(例「ぶどう」の「ぶ」から始まる言葉、「ぶた」「無事を祈る」「ブリ」など)

3)出尽くしたら適当に考えた言葉の2つ目から始まる単語を6ー10秒ほど想像する

(例「ぶどう」の「ど」から始まる言葉、「道路」」「ドイツ」「ドラ」など)

4)出尽くしたら適当に考えた言葉の3つ目から始まる単語を6ー10秒ほど想像する

(例「ぶどう」の「う」から始まる言葉、「うし」「腕まくりする」など)

5)全部出尽くしたら1)に戻り、続ける

(例「かたつむり」に言葉を変えて「か」から始まる言葉を連想)

 

 ・・・というだけのシンプルな方法です。お金も技術もいらず、すぐに出来るところが大変便利です。

 

「シャッフル睡眠法」の注意点

 ・適当に言葉を考えるとき、「すもも」「かんたん」など、同じ言葉が2つ以上ある言葉を選ばない

 

・自分にとってネガティブな言葉(例えば「納期」「電話」など)はあまり推奨しない

 

・単語を想像するとき、つなげて考えない(例えば上の例「ぶた」「無事を祈る」「ブリ」だと、豚が無事を祈ってブリを食べるとか、つなげない。ぶたはぶた、無事を祈るは無事を祈るで想像する)

 

 このあたりを注意するだけ。ルールや手順も非常に少なく簡便です。

 

「シャッフル睡眠法」の効果

 睡眠導入の改善が認められています。

 中途覚醒早朝覚醒の改善は認められませんが、再び目が覚めた場合、再度シャッフル睡眠法を使用しての睡眠導入には効果があります。

The possibility of super-somnolent mentation: A new information-processing approach to sleep-onset acceleration and insomnia exemplified by serial diverse imagining | Summit

 

「シャッフル睡眠法」の科学的根拠

 2017年8月現在、学生を対象にシャッフル睡眠法をベースに作られたアプリを用いて睡眠改善効果の検証を行っている最中です。

A test of the somnolent mentation theory and the cognitive shuffle insomnia treatment | Summit

 

 上記論文の検証中のデータによると、介入を受けた78%の対象者がアプリが有効であったと回答があり、11%の対象者はアプリより技法(上のやり方でやるということ)のほうが有効であったと回答がありました。

 すなわち、シャッフル睡眠法は89%の人が効果的であったと回答しているということです。(n=64、女性59人、男性5人、平均年齢19.78歳SD=2.07)

 

 またなぜ睡眠導入に改善が認められるかというと、脈絡のある思考を行えないようにしているからです。

 Beaudoin氏の考察論文に挙げられている先行研究によると、入眠を障害している原因はリハーサルやプランニング、問題解決などに思考を使っていることや思考に関するリフレクション等脈絡のあることを考えている割合が55%を占めており、思考が眠りを妨げていることが研究結果から明らかです。

 シャッフル睡眠法では思考を脈絡のない言葉とイメージに限定することにより、それらの原因を取り除くことに成功しています。それによって睡眠導入に効果があると考えられています。

 

「シャッフル睡眠法」に対する考察

  精神科では睡眠障害は非常に重要なテーマの一つです。日本の成人の20%は何らかの睡眠障害を訴えていると言われていますし、精神科の門戸をはじめて叩くとき、「眠れない」が大きなきっかけの一つになることが多いでしょう。

 何かひとつ睡眠関係でおすすめをと言われましたら、河合先生の本を挙げます。

極論で語る睡眠医学 (極論で語る・シリーズ)

極論で語る睡眠医学 (極論で語る・シリーズ)

 

 

 つい眠れないとなると薬に頼りがちになります。患者さんの中には薬一本勝負、みたいな人もいまして、万が一薬が効かない日なんかは辛さに押しつぶされていたりする方もいます。

 眠りは薬だけが方法ではありません。環境の調整や入眠儀式、ホットミルクやアロマなど自分が落ち着ける方法を行うことや、カフェインを控えたり携帯などの明かりを断ったりする方法もあります。

 認知行動療法の領域から不眠を克服するなら、ワークブックがいいお供になります。

自分でできる「不眠」克服ワークブック:短期睡眠行動療法自習帳

自分でできる「不眠」克服ワークブック:短期睡眠行動療法自習帳

 

 

  ただ、普通認知行動療法は4週間を1クールとして行いますから、本腰を入れて物事を進めていく必要があります。もちろん、時間をかけた分いい効果が期待できるのですが、行動変容ステージモデルの理屈から考えても、中々物事をするのに気合いりますよね。

 

 このシャッフル睡眠法であれば、今日からすぐ出来ますし、何か元手がかかることもありませんし、呼吸法など卓越した技術を必要とすることもありません。非常にかんたん!

 これはぜひ記事にして人に知ってほしい。また、なぜシャッフル睡眠法が役に立つのか、科学的根拠をしっかり調べたい。そう思ってこの記事を作りました。

 

 シャッフル睡眠法は冒頭に斎藤先生も指摘していますが、脈絡と自由連想の禁止から思考を限定する方法です。入眠障害の約50%は思考によるものが原因です。入眠さえしてしまえば後はこっちのものなのかなと思います。

 

 シャッフル睡眠法は認知科学から根拠を基に作られている技法です。その簡便さから睡眠薬やほかの認知行動療法、睡眠の工夫となんら弊害を生むことはありません。 

 万が一効果がなかったり、使えなかったとしても失うものは何もありません。そういった点でも非常に優れている方法です。身につけるために日数を要したり技術を身につける必要もありません。

 

 現在のところ、日本語でシャッフル睡眠法が効果的かどうかの科学的検証は行われていない状態です。そのため、日本でこの方法が役に立つという根拠はありません。しかしながら理屈上実践は可能ですから、一度試してみてはどうでしょうか。

 

 

 

以下、参考文献など

(参考)「シャッフル睡眠法」のやり方の出典元文章

The possibility of super-somnolent mentation: A new information-processing approach to sleep-onset acceleration and insomnia exemplified by serial diverse imagining | Summitより、(注釈:SDI=Serial diverse imaging。SO=Sleep onset)

 

8. Serial diverse imagining: a super-somnolent technique

 

This section describes SDI, a technique which according to the fore going analysis ought to be super-somnolent. The technique in particular implements the incoherent mentation hypothesis. The technique addresses the criticisms I have of the techniques listed above, while preserving their strengths.


SDI involves deliberately imagining successive random expressions. Expressionsmay be objects (e.g., a mouse), actions (e.g., flying), combinations (e.g., mouse on moon,or mouse flying, etc.).For brevity, in this paper I focus on the simple case in which the expression is a single term (noun, verb, adjective or adverb) while defining SDI moregenerally. Each term in principle is randomly selected from a very large pool of diverse terms (potentially tens of thousands of terms) .For each term, the participant imagines 19 the term in a possibly empty scene.The scene may also be some vaguely imagined context.However, the scene must not contain objects from a recent scene. The 20 participant is to focus on the object of the term rather than the scene.
The participant moves on to the next term every 6-10 seconds. Before illustrating SDI, I characterize it abstractly. 

 

SDI involves deliberate incoherent mentation: the participant’s mentation is
incoherent across scenes. Within scenes it is coherent. It is impossible for the participant
to engage in temporally integrated sense-making while following these instructions.

 

(中略)

 

Here is a hypothetical example of the technique. Suppose the random seed word is “blanket”. The participant might then say to herself, “B: blanket” and then imagine a blanket. She might think “B: bicycle” and imagine a bicycle. She might then think “B: buy” and imagine herself buying shoes. Notice that buy is a verb. That is acceptable. She might think “B: banana” and then imagine a banana hanging from a tree. She might then produce the word “breakfast”, but reject it because it is too similar to the previous word. She implements the incoherence principle. This illustrates that a meta-management process is involved in SDI. The process monitors for coherence. She then selects “Basket” and imagines a basket by her desk at work. She then gets bored of “B” words and moves onto “L” words. “L: Larry” and she imagines her friend Larry. Notice that Larry is a person. That is acceptable, for SDI terms may be persons. She need not
imagine Larry in any particular setting, nor need she perceive Larry performing any particular action. “L: like” and she might think of her son giving a hug to their dog, an animal they like. In other words, she imagines a concrete action that illustrates an affective disposition. “A: Amsterdam” and she might very vaguely imagine the large hand of a sailor gesturing for another order of fries in an Amsterdam pub while a rancid accordion plays in the background, a coherent image elicited from the song,
"Amsterdam" sung and composed by her favorite artist, Jacques Brel (Brel, 1964). Notice that this imagining involves a simple action and the elicitation and integration of several memory items. And then, "A: Apple". And so on until SO.

 

参考文献

The possibility of super-somnolent mentation: A new information-processing approach to sleep-onset acceleration and insomnia exemplified by serial diverse imagining | Summit

(Beaudoin氏の睡眠に関する考察論文とシャッフル睡眠法の提言)

 

http://www.sfu.ca/~lpb/tr/Beaudoin-2014-the-cognitive-shuffle-super-somnolent-mentation.pdf

(Beaudoin氏のシャッフル睡眠法理論の論文)

 

A test of the somnolent mentation theory and the cognitive shuffle insomnia treatment | Summit

(Beaudoin氏のシャッフル睡眠法理論検証の論文)

 

http://mysleepbutton.com/home/

(Beaudoin氏のシャッフル睡眠法理論に基づいたアプリのサイト)

 

眠れぬ夜に試してみたい「シャッフル睡眠法」 あっという間に眠りに落ちると海外で話題 - エキサイトニュース(1/2)

(紹介記事の一例)