各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと 感想
各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと
- 作者: 宋美玄,姜昌勲,NATROM,森戸やすみ,堀成美,Dr.Koala,猪熊弘子,成田崇信,畝山智香子,松本俊彦,内田良,原田実,菊池誠
- 出版社/メーカー: 株式会社メタモル出版
- 発売日: 2016/07/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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精神看護と何か関係あるかな?って印象を受けるかもしれませんが、しっかり関係あるので記事にします。
直接的には、「体罰って必要でしょうか?」「発達障害はニセの病名?」「『誕生学』でいのちの大切さがわかる?」「『2分の1成人式』は素晴らしい?」の、項目が精神看護に深く関わる部分となります。
ちょっと関心がそそられる見出しだと思いませんか。
本書は、一般の子育てをする親を中心の読者と考えられた本で、世の中にはびこる根拠のない情報について、各分野の専門家が考えを伝える本となっています。
例えば一部を引用すると、(体罰って必要でしょうか?より)
(他の文献を引用し、体罰の非有用性を指摘したあと)
それでも体罰を肯定したい人たちは、次のように言うかもしれません。
「両親や部活動の顧問や先輩から体罰を受けたことがあるが、深い愛情を感じた。体罰によって自分を戒め、スキルアップできたと思う」(具体例続く、中略)
このような主張をされると、もしかしたら納得してしまう人もいるかもしれません。でも、裏を返せば、体罰よりも効果が高くて効率がよく、かつ子どもの体や心を傷つけることなく指導する方法を知らなかったというだけの話です。
とつなげ、その後ペアレント・トレーニングという方法を提案し、説明していきます。
このように構成が読みやすくわかりやすく、かつ論理的思考に裏付けされた根拠のある話がたくさん載っています。
各項目が4ページから8ページ程度で終わるものが多く、読むことで負担にならず疲れない点。引用文がある場合、どこの誰の何という本なのかが記載され、出典を当たれる点。なにより、子どもを守るためにというテーマに沿って、誰もが軸のブレがない点がとても良かったと感じています。
世の中には科学的根拠がないのに印象だけで決めてかかったり、主観を通すために感情的に言いくるめる人がいたり、最悪なのは自己の利益のために人をだしにして子どもを食い物にする輩がいたりします。
それに影響され、子供の命や人生、健康が脅かされることはあってはいけません。
善意で思ってやっている行動も、その根拠が習慣であるならば、一度立ち止まってその効能について、批判的思考を持って検討する必要があるのではないでしょうか。
本書を出発点とし、様々に考えを巡らすことは良い結果に結びつく可能性を上げるのではないかと私は考えます。いい結果とは、子育てとして子供を守ることもそうですし、他の子育て世代の人に無益なアドバイス(無益であればまだマシですが、時として有害にもなりえますよね。それら)を行わないで済むこともそうだと思います。また時として自分のことを振り返るきっかけになるかもしれません。
もちろん本書を鵜呑みにすることもまた思考停止であり、望むものではないと思います。「こういった考えがあるんだなあ。なるほど納得行くなあ。だけどこの点についてはどうなんだろ、疑問だなあ」など、考えながら読むことこそが望まれているのではないでしょうか。
子どもと関わる人は、必読と思います。
看護研究のテーマなににしよう
もう1ヶ月経ってるんですか。驚きました。
今回はただの呟きです。
来年度になるとおそらく看護研究が始まると思うのですが、今先取りで研究テーマを何にしようか、って考えています。
近頃の病棟では身体的暴力や、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントと言った問題が浮上しています。特に助手に対する差別(当人は区別といっています)がひどい。
今の時代、看護師と助手は協働であることが当たり前だと思うので、何とも言えない気持ちになります。
当然そういったことがあったときには声を上げるものですが、1年目だし、看護部だし、なかなか難しい・・・。
うちの病棟だと、身体的暴力があったときにはグリーフワークを行うことが決まりとなっているのですが、いまいち十分に行われている実感がありません。病棟としての支援体制という点から、不十分に感じています。また実際問題、何が暴力なのか?十分に理解できていない私の問題もあります。
他の病棟だと残念ながら、各個人の努力に頼っている点が非常に強く、各々がやるもので病棟としてのフォローはないという雰囲気があると聞いています。
そういったことから、【職場環境】【身体暴力】【精神暴力】【協働】といったキーワードと、それに対するフォロー体制の構築についてと言った点が気になっています。
それと同時に、リカバリーの視点も気になっています。【WRAP】【病棟での心理教育】ということもテーマとしてあげていいのかなと思います。時々受け持ちさんに対して、WRAP的視点で「元気になる道具箱」であったりした話を少しして、自分の道具箱もシェアして、いいですよねって話をしているんですが、なかなか好印象なことが多いです。もちろん、誰しも彼しもいつでもWRAPの話を触れないんですが、こう、なんというか、WRAPの話が通りそうな人っていう様相があって、そういった人にちょろっと説明するといいんですよね。この、なんとも言えない様相について考えても面白いかもしれません。
ただ、これに関しては例えばリカバリー委員になるであるとか、そういったことを踏まえてからでもいいのかなとは思っていますが・・・。
【クリティカルパス】もどうなんでしょうね。気になります。うちのパスはパス本来の意味をなしていないただのチェックリストなので、あんまり意味ないんですよね・・・。
【タバコ】も個人的な好き嫌いから、気になります。当院は残念ながらタバコが吸える病院なので。
【集団教育】については、自分の担当でもあるのでいいのかなとは思いますが、どうも、先輩と研究もかぶるし・・・。イマイチピンとは来てません。
それと、大事なことを忘れてました。私は急性期総合内科で数年間勤務していたので、言ってみれば精神科を外から見る視点が、まだ生きています。
それを活用して【精神科特有の技術】などといった、専門性を外から観察したという話でも面白いかもしれませんね。
すごく毎日感じるのですが、精神科の看護は奥が深く、とても難しいです。
あるときは友人のように優しく楽しくしているかと思えば、あるときは厳しくも慈しむ母の顔を見せる時もあります。特定の人に対して、【枠組み】という概念でいろいろな話を決めたり、考えたりしています。ときには関与せず見守ることもありますし、看護師が感じた感情を”そのまま”お返しして、揺さぶることもあります。
面接技法も人によって様々。その人それぞれのキャラクターを活用しています。ある看護師は厳しく律する人ですし、ある人は楽しくユーモアに満ちた関わりをします。一緒に悩んだり揺れたりする人もいれば、淡々と物事を決める人もいます。ふわふわした印象の看護師もいれば、キーンと冷たい雰囲気をまとった看護師もいます。それぞれが思ったような看護が行われて、それが話し合って共有され、治療に向かっていきます。
その中で患者さんも治療に参加してもらうわけですが、その引き出し方も様々。
かんたんな技法として、例えばルート確保の技術やレスピの取扱のような普遍化したマニュアルは作れないんだろうなと思いますし、業務の見える化は難しいんだろうなと思います。その、なんとも言えないゆとりというか、余裕というか、隙というか。車で言うハンドルの遊びのような部分がとても大事なんだろうなとは思うのですが、これをアクティブインタビューするととても面白いんじゃないかと思います。現象学的にアプローチしてもいいんだろうなと思います。
【スティグマ】ですが、今まで単にそういうものがあり、それが生きる上での障害になるとだけ思っていたのです。
しかしながらもしかすると、自分の人生の主軸を病気や障害などに奪われたという考え方もできるんじゃないかと思います。
なぜならば、病気や障害は事実であり、それに意味をなしているのは社会と考えています。その社会を選択するのは、最終的に自分なのではないかと思います。
主軸を取り戻す、自分の取扱説明書を作る、などを行えば、スティグマとむきあえるのではないかなと、なんとなく思いました。
きちんと調べれば何かわかるかもしれません。
そんな感じのつぶやきでした。
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2017年5月2日追記
この記事を参照にされる方が多くありがたい話です。
後日、看護研究に関する自己学習ノートを展開していますので良ければあわせてどうぞ。