精神科看護「まごころ草とばいきん草」

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精神科看護に関する自分なりの覚書

フィッシュ!鮮度100% ぴちぴちオフィスの作り方 感想

フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方

フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方

フィッシュ!哲学系記事の第二弾。原著です。
訳されたのが2000年と、割りと古めの本になります。その頃のペーパーバックと言えば、チーズはどこへ消えた?やザ・ゴール、金持ち父さん貧乏父さんなどがヒットしていましたね。懐かしい。そのため本の進み方が当時の流行りを踏襲してまして、少し古典的なビジネス書の進み方となっています。

内容としては、シングルマザーの主人公が昇給があるという理由だけでひどい職場に部署異動を受け入れます。あまりにひどく気が滅入りますが、ふとしたきっかけでパイクプレイスに行き、活気のある市場を目撃します。ああ、うちの職場もこう活気があれば・・・と見ていると、ロニーという店員が話しかけてきて・・・。

そこから、フィッシュ!哲学について導入されていくという流れです。

フィッシュ!哲学は、4つの考えが基本構造となっています。

・態度を選ぶ
・遊ぶ
・注意を向ける
・人を喜ばせる

この4つのシンプルな考えを"だれもが"理解し、実行していくことが活気のある職場にしていくという理屈になります。
一つずつ原著を参考にしながら説明していくと、

・態度を選ぶ

「仕事そのものを選べなくても、どんなふうに仕事をするかは自分で選べる」

看護師は特に、仕事が選べちゃう職種なんですが・・・。それでも、仕事をやめる選択には様々なデメリットがありますし、新しい職場に行っても同じ問題に直面する可能性も否定できません。

なので今、すぐに、時間やモノを使わず、変化できること。それが態度を選ぶということになります。
それはきちんと意識をして行えば、効果は絶大です。
WRAPふうに言えば、刺激に対して反射せず、反応をすることを意識するということで、リカバリーコンセプトの主体性ー責任ーにつながる考えになるといえるでしょう。

ちなみにですが、前回記事の本でフィッシュ!の取り組みとして、「態度を選びましょう、今日のメニューは?」とポスターを付けるという案。この本のp66が出典ですね。


・遊ぶ

「仕事自体が報酬になり、報酬を得るための方策ではなくなる」

フィッシュ!哲学の一番おいしい部分ですね。仕事=真面目、を取っ払おうという発想です。生きていて75%は仕事に関連する活動をしている、といわれているわけですから、その活動が真面目一辺倒では息苦しい。遊びを取り入れるのは自由な発想も受け入れられやすくなり、いいと思います。特に看護の世界では真面目も真面目すぎると思うので。(もちろん、真面目を必要とされる際にはいいんですよ。それだけしかないっていうのが・・・ね。)
もし、看護をしながら遊べれば、なんだかいいじゃありませんか?

ただ注意点があります。作中でも似たことが述べられてますが、それは、遊びが仲間内だけで終わらないようにするという点です。仲間内だけで遊んでおり、患者さんを巻き込んでいなければ、それは身勝手に遊んでるに過ぎません。遊びの目的は自分が楽しくするだけではないという点です。患者さんも巻き込みましょう。そこに一線は敷かなくていいということが、フィッシュ!の遊びと考えられます。

・注意を向ける

「注意を向けると、相手に思いやりを持つことができます」

看護師は患者に対して注意を向けるのは普段から行われており、まさに手と目を持って看る、看護の仕事の一つといえると思います。
しかしながら同僚に対してはどうでしょうか。注意向いてますか?
何も患者さんのように関わってという話ではありません。ほんの少しでも同僚に対しても注意が向くだけでずいぶん変わると思うんです。
「いまいいですか?」とあったら、注意を向ける。「ちょっと空気読んで話しかけてよ」とは言わず、聞く。それだけでも違うと思うんです。
フィッシュ!哲学を導入すれば、そのことを制度化でき、個人の努力に頼ることなくできますよね。注意を向けない同僚に対して「それフィッシュ!じゃないよね」と言える、ということは有効かなと思います。

・人を喜ばせる

「ベテラン社員のステファニーが、カウンターの後ろへいって魚をキャッチしてみないかと誘われたのだ。オフィスでは内気そうに見えるが、ステファニーはそれに応じた。最初の二ひきは受けそこない、見物客は喜び、同僚たちは面白がった。だが三回目にはみごと素手でキャッチし、万雷の拍手とやじと口笛を受けた。店員たちに楽しい体験をさせてもらったステファニーは、満足の面持ちだった。」

長い引用ですね。すみません。なかなか一言で私の受け取ったことを伝えにくくて。
これも遊ぶ、と注意を向ける、に大きく重なる部分がありますが、大事な点です。
楽しませるということは、遊ぶことと注意を向けることの2つが必須になります。
遊び心がなければただの奉仕になります。注意を向けていなければ、見当外れの"善意の押しつけ"になります。両輪がしっかりしてはじめて、人を喜ばせるにつながるのでしょう。

看護では、やはり同じく患者さんに対してはある程度得意ですよね。中には奉仕となっているシーンや見当外れになっていることもあるかもしれませんが、看護の基本といえると思います。
これも同じく、同僚に対してはどうでしょう?居て当然とか、下手すると足を引っ張るなよという目で見て接していませんか。それは、フィッシュ!ではないと思います。
お互い気持ちよく仕事をするためには、対等であることが前提です。人と人として認めあって、喜ばせたい気持ちを持ってお互いが関わると、良好な職場人間関係が構築されます。
現状、厚労省が出している資料によると、看護師の退職理由一位は出産・育児のため、二位は結婚、三位は他施設への興味、そして四位に人間関係とあります。(2011年、看護職員就業状況等実態調査結果、資料2より)
しかしながら、上位三位の裏に、人間関係が理由としては言わずとも要素が絡んでいることは、現職の方だと納得のいく話と思います。(人間関係が理由では、表向きの辞職理由にはできませんもんね。)
看護師が辞めるのも、就業継続するのも、人間関係が一番です。そこに直接てこ入れができるというのは偉大です。

・・・なかなか私の言葉の比率が高すぎる印象がありますが、そのような考えが、フィッシュ!哲学です。
本著はその考えをすっとわかりやすく、飲み込みやすく述べられています。
この考えは多くの一般企業に導入されていると言われています。
その波は遅れて看護の世界にも来ています。

フィッシュ!ってなに?と思ったら原著にあたるのが、一番軸がブレずにわかり良いと思います。
値段も1,200円ほどで安く、一時間もあれば読めるので、興味が出た方はまず原著どうでしょうか。

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フィッシュ哲学系記事はあと、実践編の本とおかわりの本を予定しています。
それだけで終わるとほんの感想となるだけであまり価値がないと思うので、追記としていくつか論文を横断的に紹介したいと思います。また最後に私の思った点をまとめて行こうかなと。

うちで導入するかどうかはおいといて、とりあえずきちんと考えるのはいいことかなと思うので、その予定としています。

フィッシュ!の導入と実践ガイド 感想

いまさらながら、看護の世界で一時期ブームになっていたフィッシュ!の慈恵会の本を読みました。
本としては軽い読み物で、慈恵会にフィッシュ!が取り入れられる経緯と、副部長や師長、院長など各立場の人のコメントが載せられているほどのものです。
なので一時間もあれば十分読めるものでした。

導入と実践ガイドと銘打ってますが、すこしそれは言いすぎかなと思います。もちろん先駆者の本として出典元になるという価値もありますし、有意義なことなのですが、即使えるかというと・・・それぞれの立場からの思惑が散見され、言い方を選べばナラティブな本だなという感じです。

アマゾンで買いまして。発売されてから随分経ったので何刷かされてるかと思いましたが一刷でした。
ブームにはなりましたが、不思議な現象ですね。みんな原著にあたったのでしょうか。それとも、慈恵会の講義をもとに進めたのでしょうか。

良い点としては、フィッシュ!哲学を周知することができた点、各役職の思惑が読めた点、実際の行動化としてのフィッシュ!の様子などがしれた点が挙げられると思います。

反対に悪い点としては、フィッシュ!があくまでも管理者目線であること、活動に倫理と道徳を考えているのかどうか疑問が出たこと、自主性の尊重と唄いつつも非協力者への配慮のないことが挙げられると思います。

特に個人的に嫌だなあ、と思ったフィッシュ!活動として、新人看護師の親に対し、仕事近況を事細かに綴った手紙を出したという活動がありました。
あくまでも個人的に嫌だなと思っているだけで、その新人看護師と職場でラポールが取れていれば構わないのですが。
世の中には親が実害のある場合もあると思うんですが、配慮はあったのでしょうか。→毒親という概念の配慮が心配です。

表面的にフィッシュ!哲学を導入するとなると、こういった善意の押し付けが横行するのではないかと危惧してしまいます。

また、季節に伴った病棟の飾り付けというのも、これが自然とやりたいという気持ちからやっているのであればいいのですが、半ば義務感でやっていたり、そういうものだから、と習慣でやっていては単なる業務に成り下がるのではないかと思います。
あくまでも自主的に、やりたいから、そしてそれがフィッシュ!哲学に則っていて快の行動であるから意味があるのではないかなと思います。

批判ばかりではいけませんね。
実際のところ、私の前の職場でも導入されまして。
ぶっちゃけ鼻から形骸化した感じでした。ただサンキューカード制度はわりと回っていて、ありがとうを見える化してボードに貼っていくことは、手間もほとんどかかりませんし、自主的にすることですから結構職場でも評判が良かったです。
ただやはりフィッシュ!哲学自体をきちんと伝えられずの導入だったので、フィッシュ!=サンキューカード、となっていました。

今の職場ではまだ導入されてません。精神科ならではかもしれませんが、一般と比較してわりと普通にフィッシュ!哲学的な考えははじめからあったように思います。
臨機応変に対応しますし、よい患者対応のためには自分自身もよい精神状態である必要がある、と言う考えから、なんでも話しやすい、頼りやすい環境にあると思います。
ただそれを自然発生的にそのままにすると消滅する可能性もありますから、技法として、ベースアップとして導入することも無意味ではないのかなともお持っています。

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2017年になりました。去年は一般科を経由して、やっと目的の精神科看護師になることができました。私の看護の芽生えはこの科にありましたから、15年来の目標達成です。業務もある程度の水準には来たと思います。
学びをブログに記載し、表現することも始めることができました。

今年は去年以上に学びを深め、それをブログなどにも表現し、自分の中だけに留めないようにしたいと思います。
また、2年目の精神看護師として恥じない活躍をしたいと思います。

今年もよろしくお願いいたします。